【温故知新】古来の知恵を日常生活にどう活かすかvol.7・和敬清寂

温故知新

「和敬清寂」・わけいせいじゃく・

千利休が唱えた茶道の心構えで、主人と客が心を通わせて互いを敬い茶会の雰囲気や品々を清らかな状態に保つという禅の精神を表わした言葉です。

  • 和(調和)=穏やか、温か、和らぐ、心開いて仲良く
  • 敬(尊敬)=敬う、尊ぶ、慎む、互いを敬い合う
  • 清(清らか)=けがれなく清浄、澄み渡っている
  • 寂(静けさ)=ひっそりとした、動じない心のゆとり

【一期一会の縁】

和敬清寂の「和と敬」は、人と人との相互理解と思いやりの心の大切さを表わします。たとえ自分と違った考えの人であってもその人を認め尊重する。一期一会の縁で出会った人を敬い、互いに思いやって良き関係を築いていくことが人と共に生きるということです。

しかしながら人間関係は難しいもので悩みはつきないことでしょう。それゆえに自分を飾らずストレートに表現した方が、かえって絆が深まって清々しい関係性を保てます。テクニックやノウハウよりも、心から相手を労わる素直な気持ちは、必ず伝わるはずです。

人はみな共存して生きているので、些細なことで腹を立てたり文句を言ったりせずにいつでも清らかな心で人と接するように心がけたいですね。たとえ嫌なことがあっても、自分の気持ちをニュートラルな状態に戻す方法をいくつか持っていると心が落ち着いて安心できます。

「和敬清寂」を唱えた茶人の千利休は、戦国時代には茶頭として天下人・織田信長や豊臣秀吉に仕えました。茶の湯は、富と権力の象徴としてもてはやされ政治的会合の場面で使われていたようです。

その一方で茶事によって、戦国武将たちは平常心を保ち心を癒す安らぎの場でもありました。茶室で自分自身と向き合うことで精神を鍛練し、戦いに向かう気力を整えるという特別な空間だったのです。

現代の私たちは生死を分ける戦に向かう訳ではないので、せめて自分の機嫌は自分でとれるように気分転換を図り、常に心をフラットに保っておきたいですね。 

【おもてなしの豊かな心】

和敬清寂の「静・寂」は、物事を大切に丁寧に扱うことで相手を思うもてなしの心を表現しています。「もてなす(持って成す)」とは自分が人に何かをすることで何かを成すという意味があるそうです。

相手の立場を気遣って心配りをすること。どうしたら喜んでもらえるか?と考えて裏表なしの真っ直ぐな心で「最上級のもてなし」を行う。仏教の「利他の教え」でも「自分のことばかり考えていたら他人を思う心の余裕がないので、大切な人との和は保てない」ということを教えてくれています。 

さて、話はガラリと変わってオリンピックの話になります。2021年に東京五輪を混乱のなかで開催しパリへとバトンを渡せたことは、とても素晴らしき事であったと今年のパリ五輪を観て感じました。

2013年に東京オリンピック招致の際、滝川クリステルさんが「お・も・て・な・しの精神」をプレゼンテーションして日本文化をアピールしました。その後、東京開催が決定して喚起に湧きましたね。

ところが、予期せぬ新型コロナウイルスの影響で延期となり、それでも1年後に東京五輪を開催。開催に関しては賛否両論あるでしょうが、実現に至るまではたくさんの苦労と困難があったことと思います。

当初想定していた「おもてなし」とは違ったカタチになった気はしますが、結果的には強さとやさしさに加えて懐の深さが合わさった新しい日本のおもてなしを表現できたのではないかと感じました。

茶道の心得である「和敬清寂」は、そんな芯の強さとやわらかな優しさ、心の奥深さが日本の美学だということを教えてくれているのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました